THE PIER/くるり 感想

THE PIER (初回限定盤)
THE PIER (初回限定盤)

くるりの新作「THE PIER」が9月に発売されました。アルバムの発売に先立って配信された「Liberty&Gravity」が“変な曲”と評されたり、ハイレゾ配信に挑戦してみたりと、何かと話題の多い今回の作品。「THE PIER」について自分も書いておきたいと思います。

ではまずおさらいから。くるりはメジャーデビューから現在11枚のオリジナルアルバムを出しております。

  1. さよならストレンジャー(1999年/12曲)
  2. 図鑑(2000年/15曲)
  3. TEAM ROCK(2001年/11曲)
  4. THE WORLD IS MINE(2002年/13曲)
  5. アンテナ(2004年/11曲)
  6. NIKKI(2005年/13曲)
  7. ワルツを踊れ(2007年/14曲)
  8. 魂のゆくえ(2009年/14曲)
  9. 言葉にならない、笑顔を見せてくれよ(2010年/12曲)
  10. 坩堝の電圧(2012年/19曲)
  11. THE PIER(2014年/14曲)

こうして見てみると間隔は空いて2年、ものすごいみっちり活動している、ものすごい曲数作ってるバンドだと思われます。

さて、僭越ながら前作「坩堝の電圧」についての感想をさらっと申し訳程度に書いておりましたので、こちらを踏まえてこれまでの流れを辿っていきたいと思います。
しかもこの感想、普通の一曲ごとのレビューじゃない。「くるり」という息子がいたらこんな風に旅をしているんじゃないか、という妄想擬人化ストーリーになっています。

まず「さよならストレンジャー」では生まれ育った地元で音を鳴らしているところからスタート。
「図鑑」から徐々に遠征をし始めて「TEAM ROCK」で全国ツアー、「THE WORLD IS MINE」で完全に生まれ故郷を離れ、流浪の旅に出て行きます。
「アンテナ」「NIKKI」で諸外国を点々と渡り、それでもまだ地球上にいた懐かしいあの頃。
「ワルツを踊れ」ではなんと宇宙へ。
そこから時空の歪みにはまってしまい、「魂のゆくえ」で電波が途切れ途切れになって「言葉にならない、笑顔を見せてくれよ」では心は帰ってきてるんだけど肉体が帰って来れないような状況に。長く苦しい時代でした。
しかしそこから前作の「坩堝の電圧」で状況は一変。ワープしたみたいに突然故郷にというか実家の玄関先に姿を現し、今までの旅で起きたこと、目にしたもの、あれやこれやと早口でまくしたてるのです。これがえーっていうくらいものすごい情報量でした。
さらに口で説明しても飽き足らず、百聞は一見に如かずとばかりに私の手を引いて宇宙空間へ連れ出してしまったのが今作の「THE PIER」。といった感じなのです。まさにロックンロール・ハネムーン。「THE PIER」は宇宙から見た地球の姿に思えてなりません。

まぁ、宇宙から見た地球という感想はプレステ3でCDを流したからそういう映像が出るんですが、これがあながちズレてないどころか大変マッチしているように思えました。それにしても一曲目の「え、ちょ、ま、ここどこ」感がハンパないです。
あと宇宙からの知らせは「ワルツを踊れ」の時にしかと受け取ったのですが、今回の「THE PIER」は自分が直接足を踏み入れちゃってる感じがします。ああ、色々とあったけどあの宇宙空間できちんと座標を捉えていたんだな、という具体性を感じ取れる気がするんですよね。さらに「坩堝の電圧」よりも要点がまとまっているというか。
とにかく、音楽性について初めて触れますけど、今作は各所で多国籍的と評されていますが、平面的な世界地図「ワールド」というよりも、地球儀のような「アース」を感じます。多国籍的でいて、ぼんやりとしてないし散らかってない、ぎゅっと凝縮されている、そんな印象です。

最後にくるりというバンド、数曲のヒット曲で回していくことのできない、新曲を作り続けなければならない運命にあるバンドだと改めて思いました。毎回毎回アルバムが出る度に、ここまで来ちゃってこの次どうすんのよ…みたいな気持ちになるんですが今回もそれはもう次回作が心配になるくらいの出来です。(褒めてます)これが誰に頼まれるわけでもないはずなのに、自分でハードル上げ続けるんだもの。
でも、今回はもうどこへも行きようがなくなった「ワルツを踊れ」とは違った印象があります。私の知人は「ワルツを踊れで私の中のくるりは完結編」みたいなことを言っていましたが、今作では宇宙空間を漂うばかりではなく、地球が、宇宙が回っているイメージなのです。回転、そう、まさにくるりです。
なんかオカルトチックになってきたのでこの辺にしておきます。(今更ですけど…)全曲レビューはまたの機会にやるかもしれません。というわけで、次回作にもますます期待!

カテゴリ:音楽
梅干甘太郎 webmaster@umekan.net