インターネット・コンテンツとお金の関係

私の敬愛してやまない音楽家、くるりの岸田繁さんがインターネット・コンテンツとお金の関係について非常に思い詰めた発言をしていたので、私の認識している範囲で記事にしたためてみたいと思います。

事の発端は、岸田さんがくるりのnote公式アカウントで、有料コンテンツ『岸田繁のウマウマ放浪記』を配信した際のこと。こちらのシリーズ記事、現在3つの投稿がありますが、一般の方も有料ファンクラブ会員の方も一律で、1つの記事につき100円という金額が設定されています。そこで岸田さんのツイッター公式アカウントには読者の方から疑問の声が寄せられるという一幕があり、そこから現在あふれ返る無料コンテンツの話、音楽とお金の関係や、より良い作品作りにまで話が広がっていきました。
私も僭越ながらコメントさせていただいたのですが、ツイッターには一つの投稿に140文字までという厳しい文字数制限があるので、文章が途切れ途切れになりとても収拾のつかない状態になってしまいました。(^^;;
ここでは、あまり話を広げすぎないよう注意して、5年程度のウェブ業界の経験を生かしてお話ししたいと思います。

まずは導入として、youtubeで動画が無料で見られるのなんで?とか、紙の書籍よりも電子書籍の方が安いのなんで?という問題から。これは、多くのインターネット・コンテンツが容易に複製可能なことと、入手しても資産にならないことや、画質や音質といった品質に限界があるといった側面があるからです。
そこでお金に価値を換算する時の基準として、「希少価値」、「資産価値」、「品質」、という3つの視点から、インターネット上のテキストコンテンツを捉えてみたいと思います。

ブラウザ上で閲覧するHTMLテキストコンテンツの場合、比較的容易に複製することが可能です。コンピューターの基礎知識さえあれば誰でも簡単にコピー&ペーストで複製していくことができ、かつどんなに複製を繰り返しても元の状態を損なわないといった特性があります。まずここで、希少価値には当てはまらなくなります。
続いて、コンピューター上のテキストデータの場合、紙媒体の書籍などとは違い、入手したところで資産として扱うことが難しい形式です。簡単に言えば、古本屋さんで中古で売ることができません。極端な話、新聞紙のように緩衝材として再利用することも不可能です。ここで、資産価値にも当てはまらなくなります。
最後に品質についてですが、これはコンテンツの内容そのものというよりも、書籍の場合いい紙を使っているかとか、特色インクを使っているかとか、コンビニでコピーした時に本物とどれくらいの劣化が生じるか、という視点になります。これについては、まずテキストの配置されているHTMLという形式について少し掘り下げて説明する必要が出てきます。
HTMLは、閲覧環境によって様々に形が変えられるようにできている文書形式です。閲覧者はフォントを自由に設定でき、自分の好きな用紙に印刷することもできます。つまり、品質が固定されないのです。やろうと思えば、わざと読みづらくフォントを縮小して表示することだって可能なのです。これで、最後の品質についても当てはまらなくなります。
結論として、HTMLテキストの情報に多くの人がお金を払う抵抗を感じるのはそのためなのです。

今回は岸田さんが著名人であるという付加価値を除いて述べさせていただきましたが、HTMLテキストの状態で一つ100円の記事を購読するというのは、一般の感覚ではなかなかに難しい話かなというのが、私の個人的な感想です。
でもそれで終わりではあまりに未来に希望が持てないので、今回私なりに2つの提案をさせていただきました。
一つは、このまま連載を続けていき、ある程度まとまったら書籍化して販売するというもの。ブログの書籍化のようなイメージです。
もう一つは、形式をこれまでのHTMLではなく、PDFにするというもの。このPDF形式というものは、様々な閲覧環境に順応するHTMLよりも品質がある程度固定されますので、同じコンピューター上のデータとしても、ダウンロードしてローカルに保管することに一定の価値が出てくるかなと思います。
あくまで、参考程度に留めていただければ幸いです。

さて、この「希少価値」、「資産価値」、「品質」という3つの判断基準は、音楽の話に当てはめて考える事も可能です。
音楽の場合、現在では大きく分けて3つの形態があります。一つは生演奏、次にCD販売、最後にiTunes Storeなどによるデータ配信です。 生演奏の場合、資産としての価値こそないものの、その場でしか味わえないという希少価値があり、対価としてお金を払う価値は十分にある形態です。
CDには品質があります。パソコンに取り込んでしまえば複製できてしまうかもしれませんが、音質も劣化しますし、ジャケットや歌詞カードなどの厳密な複製はできませんので、資産として十分な価値があります。
最後のiTunes Storeなどによるデータ配信ですが、これは複製自体は難しくされているのですが、品質そこそこで希少価値や資産価値ははほとんどありません。よって生演奏やCDよりも安く設定されるのが妥当と言えます。

とりあえず私からはこんなところで。( ´ ▽ ` )ノ
また気が付いた事がありましたら、その都度シャシャリ出て書いてみたいと思います。

カテゴリ:ウェブサービス 音楽
梅干甘太郎 webmaster@umekan.net