聖剣伝説レジェンド オブ マナ3

第14回「飲めや、食べろや」

アメリカ合衆国カリフォルニア州デビルズマウンテン。
悪魔の国。
超高層ビル『デビル』
66階6号室。

水晶玉をのぞきこむ、
マナミちゃん、
ぐっさん、
具無し、
おかか。

原口「す、すごい…あの『お湯』と互角に渡りあってる…」

おかか「鬼のパンツ最強説はウソじゃなかったんすね…」

具無し「さすが鬼王さま!」

マナミ「ジュース飲みたい」

具無し「何の?」

マナミ「リンゴ。冷蔵庫の一番右に入ってんじゃん」

空く魔「つうかお前ら何くつろいでやがんだ」

マナミ「は?」

空く魔「は?じゃねー!ここはオレんちだ!オレのジュースかってに飲んでんじゃねー!」

マナミ「いただいてまーす」

空く魔「うるせー!」

具無し「いつぞやは『アボカド』と『米兵』との修行の時にお世話になりました…なのに今やお二方は…ううっ」

空く魔「悪魔相手にメソメソしたって、こっちは悲しくなんねーんだよ!!!」

マナミ「♪今は♪もう♪動かない♪その時計〜♪」

空く魔「もうイヤ!!!」

原口「大丈夫。最初はイヤでもそのうちクセになるから」

空く魔「つうかお前らがアホやってるうちにアイツの足、もげたぞ」

原口「え!」

マナミ「つうかお前らがアホやってるうちに アイツの足、もげたぞ(ふかわ りょう風に)」




ハリウッド。
山あいにかかった『Hollywood』の文字版の上には『聖樹』あり。
その麓(フモト)では今、最大の戦いが繰り広げられていた。
鬼のパンツ
木太郎
ナミダ
木門
前木
後木
V S
まなみさん
(梅干甘太郎)
マグネシウム
古厩任三郎

まなみさんの右足太ももから下はもうない。
左ヒザを曲げ、つまさきでふんばり、なんとか立ち上がろうとする。
が、そのスキをつき『鬼のパンツ』が攻撃する。

パンツ「左足もいただき、『鬼のパンチ』」


パキーン


マグネシウム「ぐあっ!」

まなみ「マグネシウム…さん」

パンツ「ち、盾でふさぎやがったか」

マグネシウム「おい、任三郎」

古厩「は、ふぁい!」

マグネシウム「パンツを倒せる技はないのか」

古厩「いや…自分は予言だけなんで…アクションシーンはちょっと」

マグネシウム「そうか…くそ…可能性は『お湯』にあり…か」

古厩「確かにあの『お湯』は強え」

まなみ「そもそもあの『お湯』は何物なんでしょう?」

マグネシウム「予言とかで分からんのか?」

パラパラパラ

古厩「分かった」

まなみ「して、なんと?」

古厩「…ス、スゴイ…運命ってやつか…」

まなみ「?」

古厩「まなみさんが自宅の風呂を沸かすのに、湯をはってる時にまなみさんの手が湯にふれた。その瞬間『お湯』は聖属化した。そのあと湯はあふれ意思を持つかのごとく、自動追尾にて悪を駆逐して行き…現在にいたる…と」

まなみ「わ、私!」

古厩「そうです」

まなみ「あの『お湯』は私が出所…」


デビルズマウンテン。

マナミ「な!アイツが元凶かよ!」

原口「まなみさんが…」

具無し「確かにまなみって奴とは一度戦ったが。…そうかやたら強いのはそういう事か」

おかか「『お湯』の元があの女っすか」

空く魔「?」


ハリウッド。

マナミ「かってに聖属化してしまう現象が、こんな私の知らぬトコロでまで起きていたなんて…」

パンツ「何だやっぱりお前が悪いのか。もいどいてよかったよ」

マグネシウム「!そうだ!パンツをやぶる予言はないのか!」

パラパラパラ

古厩「…ある」

マグネシウム「マジか!?よし!何だ!」

古厩「…まなみさん自分を受けいれよ」

まなみ「?」

マグネシウム「どういう事だ?」

まなみ「受け入れるって何を?」

古厩「自分の境遇を」

マグネシウム「きょうぐう?」

甘太郎「やはりそうでヤンしたか」

マグネシウム「何だ梅干、何か知ってんのか?」

甘太郎「つまりまなみさんは『自分のチカラ』を心の底からは歓迎してないでヤンス」

まなみ「!」

甘太郎「何であれ、結局は暴力的な破壊的なチカラ。心の底ではイヤがってるでヤンス」

マグネシウム「そうなのか」

まなみ「分からない…でも…」

甘太郎「だからチカラが外にあふれているんでヤンス。『お湯』やオイラ事『梅干甘太郎』はポジティブな技の結果ではなく、嫌悪による排除の結果でヤンス」

マグネシウム「何と!」

甘太郎「オイラの技が決まるたびにまなみさんから何かしらの違和感を感じてたでヤンス。しかしこれではっきりしたでヤンス。『暴力的なチカラへの嫌悪感』これでヤンス」

まなみ「確かに暴力には嫌悪感はあるが…」

甘太郎「それを受け入れるでヤンス。暴力イコール邪悪ではないでヤンス。人を守るチカラ。そう認識し、そう解釈するでヤンス」

まなみ「しかし…」

甘太郎「しかしじゃないでヤンス!オイラはまなみさんの分身。オイラの言葉はまなみさんの言葉でヤンス。まなみさんはもう分かっているはずでヤンス!」

まなみ「そうですね。知っています。そのくらい。暴力イコール邪悪と嫌悪する必要はない事や、チカラで人を守れる事も、暴力や攻撃で人を守れる事も『そういう定型文章』は知っています…分かっています…」

甘太郎「なら…」

まなみ「だって恐いじゃん!包丁2本もって街中歩ける?誰かを刺しやしないかと恐いでしょ!鉛筆振り回しながら幼稚園の教室歩ける?わたしは恐いの!この岩をも吹っ飛ばすこのチカラが!もし自分の意志とは違う相手を、もし傷つけたとしたら!」

甘太郎「チカラへの恐怖でヤンスか…」

古厩「確かに私も『拳銃』を持つまでは、まさかこんな感情がわくとは想像すら出来なかった。かっこいいとかバキューンとかの想像だったが、リアルに『拳銃』を持った時は確かにいい知れぬ恐怖と不安を感じたよ」

まなみ「まさにそれです。こんな物騒なモノ、恐いんです」

甘太郎「発想を変えて、心を切り替えて『受け入れる』んでヤンス」

マグネシウム「その通り。予言通り『受け入れ』ればパンツは倒せる!」

まなみ「んな急に言われても!いや分かってはいるんですよ!私みたいな人に『どういう言葉で説得すればいいか』!その言葉も、セリフも全種類分かってます!けど分かっててもジェットコースター恐いじゃん!『皆乗ってる大丈夫』で『ハイ、そうですね』とはならないんです!恐いけど100万くれるなら絶対乗ると思っても、いざ座ると恐いんです!」

甘太郎「とはいえ人の命がかかってる事でヤンス。ジェットコースターが恐いとか言うてる場合じゃないでヤンス」

まなみ「分かってます!気持ちではスグにでも受け入れたいんです。早速とりかかりたいんです。というか気持ちとしてはもう乗ってるんです!でも…」

パンツ「カッカッカッ!悩める乙女よのう。分かる分かる。アレだろ、人の命のためにハダカにはなれない!だろ。ま、『恐けりゃ乗るな』。これオレのアレ」

まなみ「うるさい、一緒にしないでください!いーですよ!やりますよ!やりますよ!!なんか出来る気がしてきた!」

ナミダ「よけいなセリフを」

パンツ「でもほらアレだ。非常識な事をすれば常識的な世界になったとしても、非常識な事が起きてほしくないから出来なくて。常識的な世界にしたいお前らにしたら」

ナミダ「言うの遅し。誰も聞いてないよ」

パンツ「え?」

古厩「いいですかまなみさん。予言では『今こそ1つに!全てを受け入れ、全てを飲み込む』のです!『お湯も梅干甘太郎もチカラも受け入れるのです』!『さすれば最強です』」

マグネシウム「飲み込めば『最強』!」

古厩「や、やるしかないです!」

パンツ「最強になると聞いて誰がミスミスやらせるか。ベジータじゃあるまいし」

びょん!

虎のごときジャンプ力でまなみさんの目の前に降り立つ。

ドスン!

まなみ「!」

パンツ「片足では逃げれまい」

まなみ「くそっ」

転がりながら、ひきずりながら逃げる。

パンツ「わっはっは!転がってるなあ。逃げろ逃げろ」

マグネシウム「マグネシウムハンマー!!!」

ドシーン!

マグネシウムハンマーで大地をぶったたきグラつかせる。

グラグラ

パンツ「おっとっと」

しかしマグネシウムでは倒れない。

まなみ「来い!お湯!!!」

ピクリ。

ザブン

名を呼ばれた事が、存在を認められた事がよろこぶがごとく、最速で参じる。

パンツ「させるか!」

ダダッ

マナミ「マナミファソラシド♪落とし穴」

ドスーン!

落とし穴に落ちる『鬼のパンツ』

パンツ「痛てーっ!!!」

マナミ「底にはトゲトゲを仕込んどいたよ」

パンツ「てめー」

マナミ「ぐっさんをどついた罰だ!その罪バンシにあたいする」

古厩「おー」

マナミ「パンツに穴をあけるためルーラで戻ってきたぜ!同じ名の者よ」

まなみ「ありがとう」

マナミ「べ、別にお前のためじゃねいやい。ぐっさんやおにぎりをやったパンツが憎いんだい」

単身マナミちゃんが悪魔の国からハリウッドに戻ってきた。

パンツ「最強にさせるな!野郎ども!全員かかれい!」

木太郎「はい父さん」

木門「キモーン」

ババッ

木門がお湯を吸い込む。

マグネシウム「マグネシウムハンマー」

ドカーン

木門にヒット!
吸引力が弱まる。

マナミ「マナミファソラシド♪まなみ5メートル移動」

マグネシウム「マグネシウム発光!」

強い光を発っして燃焼した。

カッ

ナミダ「わっ!まぶしい!」

目眩ましにより全員動けず。
まなみさんがどこに5メートル移動したかわからず。

パンツ「くそ!まなみはドコ行った?!鬼のパンチ!」

スカッ

マナミ「マナミファソラシド♪お湯速さ10倍」

バシューン!

『お湯』がまなみさんに突っ込む。

まなみ「よし!」

ゴクゴク

ゴクリ

まなみさんは『お湯』を飲みほした。

パンツ「しまった!」

シュピン!

甘太郎「次はオイラでヤンス」

まなみ「はい!食べます!」

甘太郎「最初は果肉、そして中の種は歯で割って食べるでヤンス」

まなみ「種を!」

甘太郎「そう!割った種の中にはまた種があるでヤンス」

まなみ「種の中に種」

甘太郎「種の中の種。それを『天神』と呼ぶでヤンス。それを食べれば…」

パンツ「させん!梅干しを潰す!」

甘太郎「!」

パンツ「鬼のパンチ」

バチーン!

まなみ「!」

つぶれる甘太郎。

マナミ「マナミファソラシド♪パンツ氷れ」

ピキーン

氷る鬼のパンツ

パンツ「!」

マナミ「つぶれたって大丈夫!梅ジャムみたいなもんだ!さっさと食っちまえ」

まなみ「は、はい」

つぶれた梅干甘太郎をつまむまなみさん。

甘太郎「…ま、まなみさん…」

まなみ「甘太郎!」

甘太郎「…今までお世話になったでヤンス…これでお別れでヤンスが…どうかお元気で…」

まなみ「かっ…」

甘太郎「死ぬワケではないでヤンス…排除された我々が…今こそひとつに…。…今日からまなみさんが…梅干しであり…まなみさんが梅干甘太郎なのでヤンス…まなみさんが…」

まなみ「分かった…もう何も言うな…」

甘太郎「…ただいまで…ヤンス…」

パクッ

食べるまなみさん

モグモグ

カリッ


コリッ


ゴクリ。


ピカ一――


パンツ「しまった!」

氷をやぶるパンツ。しかし時すでに遅し。

まなみ「…」

パンツ「うっ」

木太郎「臆する必要はありません。父さん!お湯と梅干しを食べただけです!片足に何が出来ます!?」

パンツ「バカヤロー!展開をあなどるな!主人公のチカラをみくびるな!恐い予感がする…ブルブル」

木太郎「まあ、見ててください父さん」

バッ

木太郎「髪の毛バリ!」

ババババッ

木太郎「リモコン下駄!」

カコン!

木太郎「よし!全弾命中!どうです父さん!弱いでしょ」

むくり

片足で静かに立ち上がるまなみさん

パンツ「!」

木太郎「!…」

ぺたん

ぺたん

片足で跳びながら前へ進む。

パンツ「ひ!」

木太郎「くそ!チャンチャンコよ!巻き付け!」

任三郎に巻き付く!

ぐるぐる ガシリッ!

古厩「ゲ!グルジイ…」

木太郎「コイツの命がおしくば…」

まなみ「梅酒の熱燗(アツカン)よ、邪を祓(ハラ)いたまえ」

バシャッ

木太郎「アツッ」

まなみ「大丈夫ですか古厩さん」

古厩「は、はい」

まなみ「やはり悪をのばなしには出来ません」

木太郎「何だ…ギャー――――――!!!」

清め酒により木太郎、大ダメージ。

マグネシウム「熱燗…まさにお湯ってワケか」

木太郎「くそ!チャンチャンコ&指鉄砲だ!」

まなみ「ふりそそげ、お湯」

ふたたび梅酒の熱燗が滝のように木太郎をおそう。

バッシャー――――!!!!!

木太郎「ギャー!」

パンツ「き、鬼太郎ー!!!」

鬼太郎「…と、父さ…ん…」

バタリ

鬼太郎、死亡。

マグネシウム「やった、鬼を一匹やっつけたぞ!」

パンツ「き、鬼太郎がやられた!!!!!」

まなみ「梅干し抗菌」

数えきれぬ梅干しが『鬼のパンツ』にふりそそぐ

ポコポコ

パンツ「ぎゃー!痛いー!」

古厩「おー!抗菌だから邪に効いてんのか!」

パンツ「お、鬼瓦 聖属性パワー全開!」

パァー――

装備した鬼瓦が聖属性の攻撃を緩和、中和する。

パンツ「あ、あぶねぇ…死ぬトコだった。いやまだちょっとチクチクする」

まなみ「鬼瓦か…」

パンツ「ヤバイ!殺される!くそっ!強くなったからって調子にのんなきゃよかった。こんなことならおとなしく神仙境にとじこもってればよかった!失敗した!」

まなみ「後悔先にたたずです」

マグネシウム「いったれ!とどめだ!」

パンツ「くそ!鬼のパンチ!」

顔面に命中!

しかしノーダメージ。

パンツ「ひー!やっぱ全然きいてなーい!」

前木「さっきまでは簡単に足がもげちまうヘボイ防御力だったのに…」

まなみ「あなたを野放しには出来ない」

パンツ「ひー!もう悪い事はしないから許して〜!」

まなみ「…」

パンツ「鬼のパンツに戻らなきゃよかった!つうかおたくらが戻したんじゃん!かってに戻したんじゃん!青いメガネやら白いメガネやら白虎やら封印やら何か色々やってきてさー」

マグネシウム「う、それを言われると…」

まなみ「まあ確かに責任の一端…」

パンツ「よし今だ逃げれ!」

木門「キモーン!」

シュピンッ

木門に吸い込まれ消え去る鬼たち。

古厩「あ、逃げた」

し〜ん

まなみ「…まあいいでしょう。これで神仙境には戻れないし、しばらくはおとなしくしてるでしょう」

マグネシウム「いや、こりずに何かしてきそう」

まなみ「その時は容赦なく鬼退治です」

マグネシウム「うむ」

まなみ「さ、まずは『アボカド』さんと『米兵』さんのご遺体を米の国に届けましょう」

片足で遺体を持ち上げるまなみさん。

まなみ「しょっと」

一行ホワイトハウスへ。






デビルズマウンテン。
超高層ビル『デビル』
66階6号室。

おかか「す、すごいっす。追い返したっす」

具無し「何という圧倒的強さ…」

おかか「鬼太郎様もあっさり倒したっす」

具無し「つうかそれよりもだ!お湯だよ『お湯』!!!」

原口「あ、そうか!」

具無し「お湯がいなくなった!お湯がいなくなったんだよ!つまり!ついに『お湯』からの恐怖の日々から解放されたって事だよ!」

原口「なるほどそうか!なし崩し的に『お湯』が消えたけど、そうなんだよね!『お湯』はもういないんだ!『お湯』を怖がる必要は無くなったんだよね!『お湯』はいない!やったー!」

マナミ「うんうん良かった良かった」

原口「わ!マナミちゃん!帰ってたんだ!」

マナミ「うん。神仙境が4人もいる危険地帯。のこのこ残る道理はない」

原口「確かに」

マナミ「気付かれんよう、スッと帰ってきた」

原口「ありがとう。ご苦労さまです」

空く魔「いい加減帰れよお前ら」

具無し「何を言う空く魔よ!一緒に修行したアボカドや米兵が死んで悲しくないのか!」

空く魔「いやオレ悪魔だから…悲しいワケないし…」

具無し「この悪魔!」

マナミ「まーまー空ちゃん」

空く魔「あっちゃん言うな」

マナミ「よし帰るか」

原口「そうね」

マナミ「おにぎりども送っちゃる」

おかか「あーざすっ」






マナミちゃん
ぐっさん
具無し
おかか
鬼怒川温泉へ。

まなみさん
マグネシウム
古厩任三郎
ホワイトハウスへ。

死者
鬼太郎
カリフォルニアロール=アボカド
鬼畜米兵。

のちに語られる『ハリウッドの戦い』はこうして幕を閉じた。

そして『聖樹』は静かにそびえ立つ。

サワサワ


つづく。


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